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おそらく企業文化の遺伝子は、創業者の行動を模倣反復することによって後代に伝えられていくのであろう。
HS氏は、まさしく現場を俳個する人であった。
生産性の問題である。
Sはこれがまったくダメだ。
(「大事なことはすべてMが教えてくれた」)元経営幹部がここまで言うのである。
品質レベルの低さもよく問題にされるが、根本は製造現場に身内意識を持てない企業文化にある。
I氏は、研究所を排掴することが生きがいのような毎日であったが、俳個の範囲は研究所に限定され、工場に及ぶことはなかった。
先に述べたように厚木工場における「Sの原罪」は、トップの足が及ばないところで発生したものである。
Sの企業文化は、製造業にもかかわらず工場から足を遠ざけがちなところにある。
製造業ならどの企業でもモノは作れる。
しかし、製造現場に経営の根幹を置かない企業に、モノを「作りこむ」ことはできない。
材料費の圧縮にせよ、直行比率の改善や不良率の改善にせよ、現場を支える作業者1人1人の改善への執着があってこそ、まさしくそれらを「作りこめて」いくものである。
M電器は、長く二番手商法を得意とした企業であった。
そのMは、2001年度の赤字転落の根本原因を、その伝統のビジネスモデルの破綻にあると解釈した。
デジタル時代には、あっという間に競合他社から類似品が市場投入される。
そこでは、二番手以降のメーカーは価格競争にさらされ、アジア諸国の価格競争力の前に敗退するしかない。
唯一のサバイバル戦略は、容易には他社に模倣されない独自技術を持つことだけである。
社長のN邦夫氏は、これを「ブラックボックス」と名付け全社的に推進することでMを窮地から挫折した一流製造業への道。
O氏は、Sが技術至上主義の企業文化に偏っていることに危機感を持ち、技術以外の営業や製造部門でも一流になることを社内に訴えた経営者であった。
当時モノづくりの最高責任者の立場にあったM稔氏はこう言っている。
現在、ShやKではセル生産方式を主流としているが、Sもこの時期、T系の.変わるきっかけになったのは、70年のことです。
テレビを作っている一宮工場で加周年の記念行事がありました。
そこに出席したOさんが戻ってきてこう言ったんです。
「作っているテレビは随分よくなった。
映像はきれいだ。
でも、作り方はちっとも変わらないな」と。
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